百人一首(28)源宗于朝臣/山里は冬ぞさびしさ…楷書・ゆる文字・かな文字で描く書道アート

28番・源宗于朝臣の和歌

ポストカードに顔彩(絵の具)を使い、3種類の書体(楷書・ゆる文字・かな文字)をで描いています

クラフトパンチで空色の帽子をかぶった妖精さんたちや、雪の結晶を作って飾り付けしているので、ぜひ!見てくださいな♪

他にも歌意・解説あり

最後に「わたしのひとりごと」

※画像はクリックで拡大するよ!

冬の山里、チラチラと雪が降るさみしい風景をイメージしてみたよ!

寒くても妖精さんたちは元気いっぱいだね!

かいしょであそぼ!

出典:古今和歌集こきんわかしゅう 冬

山里やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける

人目ひとめくさも かれぬとおも 

歌の意味

山里はいつも寂しい

冬になると…
いっそう寂しさを感じるのだ

人もたずねて来なくなり
草も枯れてしまうと思うと…

言葉の意味

【山里】
 山村にある庵や別荘

【人目】
 人の出入り

【かれぬ】
 人目が「()」と草が「
 の掛詞(かけことば)

ゆる文字であそぼ!

歌の解説

日ごろから寂しい山里なのに…

冬になると人も訪れなくなり、草も花も枯れてしまうと思うと、心をなぐさめてくれるものが何もなくなってしまう

そんな心の寂しさをよんだ一首である

なかなか官位が上がらず出世できなかったため、自分が恵まれていない悲しい気持ちをよんだともされている

本歌取りの歌

本歌取りとは…

もともとあった歌を、そのテーマや言葉を変えて歌をよむ技法のことだよ!

この歌は、15番の光孝天皇(第58代天皇)の皇子である是貞(これさだ)親王の「歌合うたあわせ」の時によまれた2首がもとになっている

30番の壬生忠岑がよんだ歌

出典:古今和歌集 秋

山里やまざとは あきこそことに

わびしけれ

鹿しかなくに をさましつつ

【歌の意味】

山里は…
秋こそが、もっとも寂しい季節

鹿の鳴く声が聞こえるたびに
目を覚ましてしまうのですよ!

34番の藤原興風がよんだ歌

出典:不明 秋

あきれば むしとともにぞ

なかれぬる

ひと草葉くさばも かれぬとおも

【歌の意味】

秋が来ると、虫が鳴くように…
自分自身も悲しくなり泣きたくなる

人もたずねて来なくなり
草の葉も枯れてしまうと思うと…

本歌は2首とも秋の歌だが、冬の歌にして更に寂しさを表現している

源宗于朝臣ってどんな人?

源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)
〔生年未詳~939年〕

皇族の身分を離れみなもと姓を名のっている

朝臣は名前の下に付け敬意を表す呼び名

15番の光孝天皇(第58代天皇)の孫

三十六歌仙の1人である

19番の伊勢や35番の紀貫之とは、歌をおくる仲だった

元皇族ではあったが、高い地位につくことが出来ず、境遇を嘆く歌が色々と残されている

かな文字であそぼ!

変体仮名:もとの漢字

山里やまざと ふゆ曽沙飛そさひしさ さり

ひとくさ れぬ登於とおもへ

わたしのひとりごと

山里とは…

都(京都)から少しはなれた嵯峨野さがの宇治うじなど、景色が良い場所のこと

嵯峨野や宇治は今でも紅葉の名所

そこには…

貴族たちの別荘や山荘が、たくさん建てられていたそうな

おすすめの紅葉スポットとして紹介されている宇治の平等院は、14番の河原左大臣の別荘なんだよね

宇治といえば、お抹茶‼

紅葉を眺めながら抹茶グルメを満喫まんきつする

あこれるなぁヾ(≧▽≦*)o

さびしい山里とはいえ

春はお花見秋は紅葉狩り、賑やかだったに違いない

それが一転‼

冬になると寒くて誰も訪れなくなるし、家のまわりに生えている草や葉っぱも枯れてしまう

そりゃ、寂しいよね…

子どもたちが小さかったころ、生協の山里ツアーに何回か参加したことがある

釣りをしたり、野菜収穫をしたり、夏の夜だとほたる鑑賞、秋だとキノコ狩り

企画が盛りだくさんで楽しかったなぁ

ツアーで行ったから、子どもたちも大勢いいて賑やかだったけど、山里に1人で住んでいたら、物凄く静かで寂しいと思う

ましてや…

虫の声も聞こえない、花も咲いていない冬なんて…

しかも…

宗于むねゆきさんてば、出世できなくてネガティブになっていたみたいだし

というのも…

大和物語』に自分の官位があがらないことを、天皇に嘆く逸話が載っているのだとか…

宇多天皇(第59代天皇)が、紀伊国(和歌山県)から石についた()()という海草(食用の海藻)をたてまつったことをお題として…

宗于さんがよんだ愚痴ぐちの歌

出典:大和物語やまとものがたり

おきかぜ ふけうらに なみ

なごりにさや われはしまぬ

【歌の意味】

沖から風が吹き
吹井ふけいの浦に波が立つ

石についた海松みるのような私は…

余波なごりで波打ちぎわにもうち寄せられず
沈んだままなのでしょうか…

自分の思いを伝えようとしたのだが、宇多天皇は「何のことだか、この歌の意味がわからない…」と側近の者に話されて効果はなかったようだ

光孝天皇の孫なのに…

皇族の身分を離れ、皇位継承の道を閉ざされてしまった宗于むねゆきさん

愚痴ぐちの1つも、言いたくなるよね…

家庭内でも…

娘の結婚に期待しながらも実らなかったとか、息子が博打ばくちをして一族から見放されたとか…

親としても苦労がたえなかったみたいだよ!

それでも、歌が百人一首に選ばれて、現在も多くの人たちによまれているのは、出世するよりもすごい事なんだけど…

当時の宗于むねゆきさんには知るよしもない

参考文献

【書籍】

1.神作光一 監修
 小学生のまんが百人一首辞典
 出版社 学研プラス/256頁
 発売日2005年12月

2.著書 小池昌代
 ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
 出版社 河出書房新社/256頁
 発売日1017年2月

3.吉海直人 監修
 百人一首大事典 ―完全絵図解説―
 出版社 あかね書房/143頁
 発売日 2006年12月

4.著書 佐佐木幸綱
 口語訳詩で味わう百人一首
 出版社 さ・え・ら書房/221頁
 発行日 2003年12月

5.著書 富谷松雲
 (ポケット版)常用漢字準拠
 ―八体事典―
 出版社 有紀書房/400頁
 発行日 1993年4月

6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
 百人一首
 発行所 松魁堂/113頁
 発行日 1998年5月

【Webサイトの記事】

1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
 宗于
 経歴・逸話・官歴
 更新日 2022年1月28日
 参照日 2023年6月7日

2.百人一首を探ろう
 源宗于朝臣
 プロフィール・百人一首和歌へ
 参照日 2023年6月7日

3.変体仮名を調べる
 ―五十音順一覧―
 参照日 2023年6月7日

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