百人一首(29)凡河内躬恒/心あてに折らばや折らむ…楷書・ゆる文字・かな文字で描く書道アート

29番・凡河内躬恒の和歌

ポストカードに顔彩(絵の具)を使い、3種類の書体(楷書・ゆる文字・かな文字)をで描いています

クラフトパンチで空色の帽子をかぶった妖精さんたちや、白菊の花を作って飾り付けしているので、ぜひ!見てくださいな♪

他にも歌意・解説あり

最後に「わたしのひとりごと」

※画像はクリックで拡大するよ!

晩秋の早朝、白菊の花と霜が降りて来る景色をイメージしてみたよ!

菊のまわりを飛び回っている妖精さん、寒くないのかな?

かいしょであそぼ!

出典:古今和歌集こきんわかしゅう 秋

こころあてに らばやらむ

初霜はつしも

きまどせる 白菊しらぎくはな

歌の意味

あてずっぽうに
折るなら折ってみましょうか?

今年初めての霜が降りて…

どれが花だか、どれが霜だか
まぎらわしくて
見分けがつかなくなっている

白菊の花よ!

言葉の意味

【心あてに】
 あてずっぽうに

【折らばや折らむ】
 折るなら折ろうか

【置きまどはせる】
 置いて(まど)わせる
 まぎらわしくする

ゆる文字であそぼ!

歌の解説

霜と見間違えてしまうほどの、白菊の美しさをよんだ歌である

実際には、菊と霜の見分けがつかなくなることはないが…

当時はこの歌のように、あれこれと思案する表現でよむことが好まれていた

小菊 ーPhoto ACー

平安時代の菊の色は黄色で、現在のような大きな花ではなく小菊であった

99番の後鳥羽院(第82代天皇)は菊を愛し、刀や衣類・日常品に菊の図案を入れていた

その後…

代々の天皇に継承されて、菊の花は皇室の象徴となったといわれている

凡河内躬恒ってどんな人?

凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
〔生没年不詳〕

家系もよく分からない上流出身ではなかったため、役人としての地位はめぐまれなかったが、歌人として優れており、宇多法皇(第59代天皇)のお気に入りであった

27番の中納言兼輔、35番の紀貫之らと並ぶ、超売れっ子の歌人

古今和歌集古今和歌集』の選者の1人

『大和物語』の逸話

醍醐天皇(第60代天皇)に「なぜ、月を弓張ゆみはりというのか?」と問われ、凡河内躬恒が即興で(こた)えた歌

出典:大和物語やまとものがたり

つきを 弓張ゆみはりとしも いふことは

やまさして (射)ればなりけり

【歌の意味】

照る月を弓張りというのは…

山の尾根に向かって矢を射るように

月が山に入るからでしょう

「月が」と「弓を
 の掛詞(かけことば)

半分に見える月のことを弓張り月と言うんだよ…
月が沈むときの形を弓に例えているからなんだね!

かな文字であそぼ!

変体仮名:もとの漢字

ろあて やおら

はつしもの

万登盤まとはせる 白菊しらぎくはな

わたしのひとりごと

わたしが子どもの頃

霜柱が土から顔を出しているのを見つけると、その上をガシガシ踏みまくり、靴底に土をいっぱいつけて歩き回っていたのを思い出す

あの頃は今よりも寒かったはず‼

温暖化のせいなのか?

それとも…

あまり土を見ることがないせいなのか…

霜柱を見かけることがなくなったなぁ

わたしが見た霜柱は3㎝ぐらいの高さがあって、銀色に輝き本当にキレイだった!

でも…

この歌に出て来るは…

菊についたのことだよね?

花と見間違えるなんて、かなり大げさによんでいるのかも…
((´∀`*))www

菊の咲く頃といえば…

木枯らしが吹く寒い季節

新宿御苑(東京都)では毎年11月1日から15日まで、皇室ゆかりの伝統を受け継ぐ『菊花壇展』が毎年開催されている

明治11年(1878年)

菊を鑑賞する行事「菊花拝観」が、赤坂離宮で初めて行われたのがルーツだそうだ

当時の宮内省が独自の伝承や品種改良をして、菊の栽培に力を入れ、頑張っていたみたいだよ!

現在の新宿御苑は、環境省管轄(かんかつ)になっているよ!

皇室といえば「菊の紋

由来は何だろうと思ったら…

99番の後鳥羽院(第82代天皇)は菊が好きで、自分の持ち物に菊の模様を入れていたのが、歴代天皇に継承されているのだとか…

天皇が好む菊ならば、手入れをされた大輪の花なのだろうと思いきや…

平安時代の菊は小さな小菊だった

種類は分からないけれど…

この歌の白菊と同じ、直径2~4センチほどの大きさだったみたいだね!

延命草えんめいそう」とよばれた「キク」

奈良時代に唐(中国)から輸入された菊は延命草とよばれ、酒にして飲むと長生きするといわれていた

菊と盃の折り鶴(左) 妖怪花札(右)

花札はなふだの菊と盃(さかずき)は長寿の菊酒を表現しているんだって!

花札の方が分かりやすいかな?と思って写真を撮ったんだけど…

我が家には『水木しげる妖怪花札』しかなくて、菊の隣はさかずきではなく妖怪だった
( ̄∇ ̄;)ハッハッハ

そして、もう1つ!

菊といえば…

お刺身を買うと、飾りとして入っている黄色い小さな菊を思い出す

子どもの頃…

この菊は食べられるんだよ!」と教えてもらったけど、食べる気にはならなかったなぁ

可愛くてキレイだったんだけどね

【食用菊の効能】

老化を防ぐビタミンⅭ

血行をよくするビタミンE

皮膚を丈夫にするビタミンB2

美肌効果があり、栄養素もたくさん含まれているのだとか…

優れた殺菌効果もあるらしいよ…

だから、お刺身に添えられているんだね!

さすが、延命草!

少し抵抗はあるけど、食べてみたいと思うようになってきた

菊の酢の物や和え物なら、食べやすいかもね!

最近は食べられる花のことを「エディブルフラワー」とよばれていて、ニュースでも花が食べられるレストランとして紹介されていたのを見たことがある

苦味が少なくて、食べやすく栽培されているのだとか…

菊と同じような効能があるならば、「エディブルフラワー」をしょくしてみたい気がする

参考文献

【書籍】

1.神作光一 監修
 小学生のまんが百人一首辞典
 出版社 学研プラス/256頁
 発売日2005年12月

2.著書 小池昌代
 ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
 出版社 河出書房新社/256頁
 発売日1017年2月

3.吉海直人 監修
 百人一首大事典 ―完全絵図解説―
 出版社 あかね書房/143頁
 発売日 2006年12月

4.著書 佐佐木幸綱
 口語訳詩で味わう百人一首
 出版社 さ・え・ら書房/221頁
 発行日 2003年12月

5.著書 富谷松雲
 (ポケット版)常用漢字準拠
 ―八体事典―
 出版社 有紀書房/400頁
 発行日 1993年4月

6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
 百人一首
 発行所 松魁堂/113頁
 発行日 1998年5月

【Webサイトの記事】

1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
 凡河内躬恒
 経歴・逸話
 更新日 2023年6月7日
 参照日 2023年6月9日

 食用菊
 利用史・効能・栄養素
 更新日 2022年12月22日
 参照日 2023年6月9日

2.百人一首を探ろう
 凡河内躬恒
 プロフィール・百人一首和歌へ
 参照日 2023年6月9日

3.変体仮名を調べる
 ―五十音順一覧―
 参照日 2023年6月9日

【写真】

1.写真のフリー素材サイト
 ―Photo AC―
 小菊

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