色とりどりの紅葉、モミジの織物をイメージしてみたよ!
妖精さんたち、紅葉の錦を作っているのかな?
かいしょであそぼ!
歌の意味
今回の旅では、私の幣など
捧げなくてもよさそうですね
かわりに、手向山の錦のように
美しい紅葉を捧げます
神の御心のままに…
お受け取りください
言葉の意味
【このたび】
「この度」と「この旅」
の掛詞(かけことば)
【ぬさ】
旅の安全を祈って神さまに捧げるもの
神や木綿や絹などを細かく切ったもの
【手向山】
道祖神がまつられている
奈良山の峠の1つ
【錦】
最高級の織物
五色の糸で色々な模様を織った織物
ここでは、紅葉の美しさのたとえ
【神のまにまに】
神の御心のままに
ゆる文字であそぼ!
歌の解説
宇多天皇(第59代天皇)が退位し、一緒に宮滝(奈良県吉野郡)へ旅行した時によまれた歌である
菅家の他、何人もの歌人がお供したそうだ
「ぬさ」は漢字で「幣」と書く
旅の安全を祈って、色絹や綿などの布や紙を細かく切り作られた「神さまへの捧げ物」である
それを旅先に持って行き、途中で出会った道祖神にお参りし「ぬさ」をまいて旅の安全を祈るのだが、用意できなかったので「取りあえず」代わりに美しい紅葉を集めて神様に捧げましょうとなったそうだ
あとは神様の御心のままに…
この歌を聞いていた21番の素性法師が、翌日によんだ歌がある
素性法師の歌
【歌の意味】
手向山の幣が必要でしたら
私の継ぎはぎだらけの袖を切って
お供えしますが…
この山々の紅葉に見飽きて
いらっしゃる神は…
私のお供え物なんか
お返しになるのでしょうねぇ
継ぎはぎだらけの袖は、謙遜して言っているだけだよ!
菅家ってどんな人?
菅家(かんけ)
〔845~903年〕
本名は菅原道真(すがわらのみちざね)
菅家は、平安末期以降の天神信仰から生まれた呼び名である
宇多天皇(第59代天皇)と醍醐天皇(第60代天皇)の側近
名門の学者の家に生まれ、54歳で右大臣に出世する
当時、左大臣だった藤原時平の
「道真が醍醐天皇を退位させ、娘婿を天皇として即位させようとしている!」という密告により、無実の罪をきせられ九州の大宰府に左遷させられる
悔しい思いをしながら亡くなったあと、京の都は地震や雷などが発生!
藤原時平や醍醐天皇(第60代天皇)、菅家の追放に関わった人々が次々に亡くなったため
「これは道真の祟りに違いない‼」と世の中の人々のウワサになり、朝廷は菅家の罪を取り消し、京都の北野に霊をまつる「北野天満宮」が建てられた
優れた学者・歌人であったため、現在は学問の神様として信仰されている
かな文字であそぼ!
わたしのひとりごと
菅家こと、菅原道真は学問の神さまで有名な人物!
しかし、歴史をさかのぼると…
道真さんがまつられている「北野天満宮」は、怨霊をしずめるために建てられた神社なのだ
なんといってもすごいのが、日本三大怨霊の1つだってこと‼
あとの2つは…
東京千代田区の大手町にある「将門の首塚」で有名な平将門
そして…
77番の歌をよんだ崇徳院(第75代天皇)
百人一首の中に日本三大怨霊の人物が2人もいるってことは、ただの偶然なのだろうか?
それとも…
撰者である97番の権中納言定家が、意図的にこの2人の歌を選んだのか、今となって分からない
けど…
わたしは、定家さんの何かしらのメッセージが込められているのではないかと思っている
怨霊とは…
恨みをはらそうと祟ること
天災が大きければ大きいほど強い恨みがあると信じられていた時代
落雷に打たれて亡くなったり…
若くして急死したり…
道真さんを無実の罪で追いやった人たちの命を、ピンポイントに狙ってくる!?
心当たりのある人たちは精神的に追いつめられ、恐怖を感じていたに違いない
だよね?
藤原時平さん!
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
藤原時平とは…
13番の陽成院や、15番の光孝天皇の記事でも書いたんだけど…
摂政として天皇を裏で操り、権力を振るいまくっていた藤原基経の息子なのだ!
親の七光りもあり、若くして左大臣になった藤原時平
彼はなぜ、道真さんを陥れるような事をしたのだろうか…
はっきりした理由は、分からないみたいだね
『大鏡(おおかがみ)』という歴史物語に…
時平は冷酷で不愛想な我慢のできない性格で、華美な装束(贅沢な服装)で宮中に行くと、醍醐天皇の怒りを買い退出したという逸話もあるそうだ
役職を比べると、左大臣の方が偉いらしい
それを考えてみたら…
頭が良くて学者肌、年上の部下である道真さんとは、相性がめちゃくちゃ悪かったのかも知れない
藤原時平が39歳の若さで急死してしまったのも、彼の子孫が消滅してしまったのも、怨霊のせいだと言われている
お気の毒だとは思うけど…
「親の因果が子に報いる」
親が行った悪行が、罪もない子孫に及んで災いをするという『ことわざ』が頭をよぎる
参考文献
【書籍】
1.神作光一 監修
小学生のまんが百人一首辞典
出版社 学研プラス/256頁
発売日2005年12月
2.著書 小池昌代
ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
出版社 河出書房新社/256頁
発売日1017年2月
3.吉海直人 監修
百人一首大事典 ―完全絵図解説―
出版社 あかね書房/143頁
発売日 2006年12月
4.著書 佐佐木幸綱
口語訳詩で味わう百人一首
出版社 さ・え・ら書房/221頁
発行日 2003年12月
5.著書 富谷松雲
(ポケット版)常用漢字準拠
―八体事典―
出版社 有紀書房/400頁
発行日 1993年4月
6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
百人一首
発行所 松魁堂/113頁
発行日 1998年5月
【Webサイトの記事】
1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
菅原道真
生涯
更新日 2023年4月30日
参照日 2023年5月21日
藤原時平
生涯
更新日 2023年3月17日
参照日 2023年5月21日
日本三大怨霊
菅原道真・平将門・崇徳天皇
更新日 2023年3月5日
参照日 2023年5月21日
2.百人一首を探ろう
菅家
プロフィール・百人一首和歌へ
参照日 2023年5月21日
3.変体仮名を調べる
―五十音順一覧―
参照日 2023年5月21日