百人一首(68)三条院/心にもあらでうき世に…楷書・ゆる文字・かな文字で描く書道アート

68番・三条院の和歌

ポストカードに顔彩(絵の具)を使い、3種類の書体(楷書・ゆる文字・かな文字)をで描いています

クラフトパンチで若緑色の帽子をかぶった妖精さんたちや、お月さまを作って飾り付けしているので、ぜひ!見てくださいな♪

他にも歌意・解説あり

最後に「わたしのひとりごと」

※画像はクリックで拡大するよ!

物静かな夜ふけ、美しい月が輝いている夜空をイメージしてみたよ!

月明りの中、妖精さんはお散歩しているのかな?

かいしょであそぼ!

出典:後拾遺和歌集 雑

こころにも あらでうき

ながら

こいしかるべき 夜半よわつきかな

歌の意味

自分の望みとは違う

つらい現実に生き長らえたならば

さぞかし恋しく

思い出されるに違いない

この美しい夜ふけの月を…

言葉の意味

【心にもあらで】
 心ならずも、望みと違って

【うき世】
 「浮世」「現世」
 つらいこの世、いやな現実

【ながらへば】
 生き長らえたならば

【夜半】
 夜中・夜ふけ

ゆる文字であそぼ!

歌の解説

後拾遺和歌集』の詞書には…

れいならずおはしまして、くらいなど去らむとおぼしめしける頃、月の明かりけるを御覧ごろうじて

と書かれている

例ならず」は病気でという意味

三条院が病気で天皇を退位することを決意した頃

美しく輝いている月を、中宮妍子けんしと眺めていた時によんだ歌である

中宮妍子は当時の権力者 藤原道長の次女だよ!

目の病気で失明の恐れがあった三条院

おじの藤原道長から次の天皇にくらいをゆずるようせまられていた

「死んでしまいたいほど辛いのだが、この先もながらえてしまうのであれば、今夜宮中でながめた月のことをなつかしく思い出されるのだろう」と今の心境をよんだのである

上の句は、今の苦しみがこの先も続くのではないかという恐怖と悲しさ

下の句は、恐怖と悲しさの中を「月」が美しくひきたてている

三条院ってどんな人?

三条院(さんじょういん)
〔976~1017年〕

三条天皇(第67代天皇)

986年

11歳で皇太子になる

当時、藤原道長が権力をにぎっていたため、4つ年下の一条天皇(第66代天皇)が先に天皇になり「さかさのもうけのきみ」といわれた

1011年

36歳でようやく天皇になる

しかし…

失明に至るほどの目の病気になり、藤原道長にしつこく天皇を退しりぞくようにせまられ、在位期間わずか4年で、まだ幼い後一条天皇くらいをゆずる

後一条天皇は数え8歳だよ!

三条院の在位中は宮中の火事が2度も起こるなど不幸続きであった

その後、病気が悪化して失明し出家する

翌年、42歳で崩御ほうぎょ

かな文字であそぼ!

変体仮名:もとの漢字

も あらてうきよ

那可なからへ

こい遍支へき 夜半乃よはの つき

わたしのひとりごと

63番の左京大夫道雅の恋人だった当子とうし内親王

彼女の父親が三条院

そして…

2人の仲を引きいた人物でもある

禁じられた恋の悲しみに22歳の若さで生涯を閉じてしまった当子内親王だけれど、父の三条院もまた辛い人生を送っていたのだ

【権力者と天皇の微妙な関係】

一条天皇(第66代天皇)

三条天皇(第67代天皇)

後一条天皇(第68代天皇)

藤原道長は自分の娘たち3人を、それぞれの天皇に入内じゅだいさせている

入内(じゅだい)とは…

天皇と結婚することだよ!

それなのに…

なぜ、三条天皇に圧力をかけたのか?

一条天皇は数え7歳で天皇に即位する

そのため…

藤原道長と二人三脚で政治を行っていた

しかし、三条天皇は…

天皇が政治を行う「天皇親政しんせい」を目指していたのだ

36歳で即位しているから、いろいろ知識もあったのだろう

それが、権力者の道長には気に食わなかったのかもしれない

病気を理由に「はよ、くらいをゆずれ!」と圧をかけてくる

自分の次女を入内じゅだいさせているのに…

そして…

数え8歳で後一条天皇即位そくいさせる

二人三脚というよりは…

道長が自分の思うままに権力を振るいたかったのかもしれない

【権力に翻弄ほんろうされた人生】

三条院が眼病治療のためいろいろ手をつくしていたことが『大鏡』にしるされている

氷のはりつめた寒中の冷水を頭に大量に注いだり

秘薬を服用したり

比叡山ひえいざん根本こんぽん中堂まで登り祈願していたが、どれも効果がなかった

仙丹せんたんという薬を服用直後に視力を失ったといわれている

仙丹(せんたん)は中国で不老不死の薬とされていたけれど、毒物の水銀がたくさん含まれていたみたいだよ!

内裏だいりの2度の炎上

1014年に一回目の火事

三条天皇が目の病気になった年でもある

1015年に二回目の火事

内裏だいり再建後わずか2か月で炎上する

当時は「天災の発生は天皇のとくがたりないからだ!」という考えあり、多くの人が三条天皇を見放してしまったのだった

そして…

心折れていたタイミングで道長が退位たいいをせまってきたのである

この火災が誰かに仕組まれたのか不明だけれど…

権力者の恐ろしさを感じる

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

【三条院と月】

三条院はこの歌の他にも月の歌をよんでいる

満月と東寺 ーPhoto ACー

三条院の即位前

長年親しく仕えていた藤原統理むねまさが出家の決意をした時

思いとどませるためにんだ歌

出典:新古今和歌集

つきかげの やま端分はわけて

かくれなば

そむくを わがやながめ

【歌の意味】

月が山の稜線りょうせんの間に隠れるように

あなたが出家しゅっけしてしまったら

あなたが捨てたこのき世を

私だけ取り残され物思いに

ふけりつつ過ごすのだろうか

月は藤原統理を、隠れは出家すること

信頼していた側近を失う孤独感が伝わってくる歌だよ!

三条院が月を見てよんだ歌

出典:詞花和歌集

あきにまた 逢はむ逢はあわんあわじも

らぬ

今宵こよいばかりの つきをだに見むみん

【歌の意味】

ふたたび秋に

えるかえないかも

わからぬ身

せめて今夜の月だけでも

心ゆくまで眺めよう

自分の命は長くないかも…

と思いながらよんだ悲しい歌だよ!

まわりは藤原道長を恐れ、ひとりで戦っていた三条院

いやしてくれるのは月だけだったのかもしれない

息子の敦明あつあき親王立太子りったいしにする条件で天皇を退位したけれど、三条院が崩御ほうぎょすると道長は親王に無言の圧力をかけてみずから東宮を辞退させられてしまった

藤原道長恐るべし

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

三条院が希望した「天皇親政」になっていたら、世の中は良くなっていたのだろうか?

もしかしたら…

無理だと思った道長は圧力をかけたのかもしれない

政治家にはやみがつきもの

今も昔も…

参考文献

【書籍】

1.神作光一 監修
 小学生のまんが百人一首辞典
 出版社 学研プラス/256頁
 発売日2005年12月

2.著書 小池昌代
 ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
 出版社 河出書房新社/256頁
 発売日1017年2月

3.吉海直人 監修
 百人一首大事典 ―完全絵図解説―
 出版社 あかね書房/143頁
 発売日 2006年12月

4.著書 佐佐木幸綱
 口語訳詩で味わう百人一首
 出版社 さ・え・ら書房/221頁
 発行日 2003年12月

5.著書 富谷松雲
 (ポケット版)常用漢字準拠
 ―八体事典―
 出版社 有紀書房/400頁
 発行日 1993年4月

6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
 百人一首
 発行所 松魁堂/113頁
 発行日 1998年5月

【Webサイトの記事】

1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
 三条院
 略歴・系譜
 更新日 2024年8月4日
 参照日 2024年9月7日

2.百人一首を探ろう
 三条院
 プロフィール・百人一首和歌へ
 参照日 2024年9月7日

3.変体仮名を調べる
 ―五十音順一覧―
 参照日 2024年9月7日

【写真】

1.写真のフリー素材サイト
 ―Photo AC―
 満月

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