百人一首(66)前大僧正行尊/もろともにあはれと思へ…楷書・ゆる文字・かな文字で描く書道アート

66番・前大僧正行尊の和歌

ポストカードに顔彩(絵の具)を使い、3種類の書体(楷書・ゆる文字・かな文字)をで描いています

クラフトパンチで青色の帽子をかぶった妖精さんたちや、桜の花びらを作って飾り付けしているので、ぜひ!見てくださいな♪

他にも歌意・解説あり

最後に「わたしのひとりごと」

※画像はクリックで拡大するよ!

人跡まれなる深山、桜の花が咲き誇る光景をイメージしてみたよ!

桜色の世界を飛び回る妖精さんたちがすごく楽しそう!

かいしょであそぼ!

出典:金葉和歌集 雑

もろともに あれとおも 山桜やまざくら

はなよりほかに ひともなし

歌の意味

私と一緒になつかしく思っておくれ

山桜よ!!

こんな山奥では

花であるおまえのほかに

私の気持を分かってくれる人なんて

いないのだから…

言葉の意味

【もろともに】
 一緒に・お互いに

【あはれ】
 しみじみとなつかしく思う気持ち

【知る人もなし】
 「知る人」とは知人ではなく
 「自分を理解してくれる人」のこと

   

ゆる文字であそぼ!

歌の解説

詞書(ことばがき)には…

大峰にて思ひおもいもかけず桜の花の咲きたりけるを見てめる」と書かれている

大峰」は奈良県吉野郡にある修験道の女人禁制の霊山れいざんのことである

霊山とは…

神仏などが祀ってある神聖な山のことだよ!

大峰山 ーPhoto ACー

前大僧正行尊は大峰山の山奥で断崖絶壁だんがいぜっぺきを上がったり下りたり、滝にうたれたり、長いあいだ命がけの修行をおこなっていた

そんな毎日をごすなか…

人の気配もない山奥で、思いがけず目の前に現れた「山桜」を見つけ、感動してよんだ歌だとされている

1人で修行をしていた行尊は、山桜がなつかしく孤独こどくを分かちあえる相手だと思えたのだろう

あはれ」とは…

嬉しい・面白い・不思議だ、等々しみじみと心にしみる感情を表現している

平安時代の貴族たちは「あはれ」という気持ちを、すごく大切にしていたんだよ!

山桜は出て来るが春の歌ではない!?

修行僧として自分の心境をよんでいるので「ぞう」の歌である

百人一首の「」とは…

四季や恋の歌以外、どれにも属さないものを「」と分類しているよ!

行尊ってどんな人?

前大僧正行尊
(さきのだいそうじょうぎょうそん)
〔1055~1135年〕

68番の三条院のひ孫

父は源基平(みなもとのもとひら)

10歳で父を亡くし12歳で出家

滋賀県大津市の園城寺おんじょうじで密教を学ぶ

園城寺 ーPhoto ACー

17歳の頃から大峰山・葛城山・熊野などの霊場をめぐり、約18年間厳しい修行を行っていた

後に悪霊退散やき物の除霊、祈祷きとうで病気を治すなどの呪力を体得する

1107年

鳥羽天皇(第74代天皇)の即位とともに護持僧ごじそうに選ばれ、僧の中でもっともくらいの高い大僧正となった

護持僧とは天皇の病気を祈祷で治す人のこと…

現在だと主治医みたいな感じだね!

修業時代の歌を集めた『行尊大僧正集』がある

81歳で逝去

かな文字であそぼ!

変体仮名:もとの漢字

ろとも あおもへ 山桜やまざくら

はなより本可ほかに しひともなし

わたしのひとりごと

ゴールデンウイークに車で熱海あたみへ旅行に行った時のこと

山道を登って行くと1本の山桜が現れた

すると…

となりに座っていた母が「やまざくら~♪」とこの歌を口ずさむ

山桜の開花時期は4月から5月ごろ

ソメイヨシノよりも色が濃く、緑一色の山に突然ピンク色に染まった桜の木が現れると感動ものである!

車の中でさえ山桜の美しさに感動するくらいだから

山奥で辛い思いをしながら修行をしていた行尊さんは、ピンク色の美しい山桜に出会い感極まって、思わず歌をよんでしまったのだろう!

山桜の花言葉「あなたに微笑(ほほえ)

山の木々が芽吹くより先に咲く花を見ると、思わずみがこぼれてしまうところからつけられたという

たしかに…

私も母も山桜を見て微笑んでいたような気がする

行尊さんも美しく咲き誇る山桜との突然の出会いに、満面の笑みを浮かべていたに違いない!

じつは…

この山桜の歌は連作になっている

行尊のもう1つの山桜の歌

出典:行尊大僧正集

せて あとさへにおう 山桜やまざくら

あはれれら ひとにみせばや

【歌の意味】

風で枝が折られても咲いている

山桜よ!!

人に見られることもないのに

健気けなげに咲いている

この歌のあと…

百人一首の歌に続くんだよ!

強風で折れてしまった枝

そんな枝にも春になると桜が咲きほこ

この頃、行尊が密教を学んだ園城寺おんじょうじが焼かれてしまう事件が起こる

寺を再建するために山々を歩き托鉢たくはつしたりと、非常に孤独で厳しい時期でもあった

この苦しい状況と折れてしまった山桜の枝を、自分の人生と重ね合わせていたのかもしれない

奈良県には大昔から珍しい品種の桜が咲いている

【奈良の八重桜】

品種名がナラノヤエザクラ

4月下旬から5月上旬に咲く遅咲きの桜である

ナラノヤエザクラ ーPhoto ACー

61番の伊勢大輔の歌にも登場する

奈良の興福寺こうふくじから京都の宮中へ献上品として、わざわざ届けられるほどの珍しい桜である

ふやすのが非常に難しくて寿命も短い

現在は奈良公園で見ることができる

【白山桜】

世界遺産にもなっている「吉野山の千本桜」として有名である

行尊が修行中に見た山桜だと思われる

シロヤマザクラ ーPhoto ACー

シロヤマザクラは吉野山の固有種

約1300年前に修験道の開祖である役小角えんのおずのが山桜の木に御本尊 蔵王権現ざおうごんげんを刻んだことから、御神木としてあがめられてきた桜である

【又兵衛桜】

又兵衛桜(またべえざくら)

奈良県宇陀市にあるシダレザクラ

又兵衛桜 ーPhoto ACー

戦国武将として活躍していた後藤又兵衛が名前の由来となっているそうだ

幹周は3メートル

高さ13メートル

樹齢約300年の立派な一本桜なのである

桜の語源は…

日本の神話に登場する木花咲耶姫このはなさくやひめの「さくや」から来ているという説がある

春になると身近に見られるソメイヨシノもいいけれど、日本古来の奈良の桜もいつか見てみたいと思う

花を愛し…

月を見て涙する心の優しい行尊さん!

にもかかわらず…

修行により強じんな体力と呪術を身につけたカッコイイお坊さんなのである

悪霊退散させるオカルトっぽいエピソードが知りたいなぁ
(・∀・)ニヤニヤ

参考文献

【書籍】

1.神作光一 監修
 小学生のまんが百人一首辞典
 出版社 学研プラス/256頁
 発売日2005年12月

2.著書 小池昌代
 ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
 出版社 河出書房新社/256頁
 発売日1017年2月

3.吉海直人 監修
 百人一首大事典 ―完全絵図解説―
 出版社 あかね書房/143頁
 発売日 2006年12月

4.著書 佐佐木幸綱
 口語訳詩で味わう百人一首
 出版社 さ・え・ら書房/221頁
 発行日 2003年12月

5.著書 富谷松雲
 (ポケット版)常用漢字準拠
 ―八体事典―
 出版社 有紀書房/400頁
 発行日 1993年4月

6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
 百人一首
 発行所 松魁堂/113頁
 発行日 1998年5月

【Webサイトの記事】

1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
 行尊
 生涯と業績
 更新日 2024年5月19日
 参照日 2024年7月12日

2.百人一首を探ろう
 前大僧正行尊
 プロフィール・百人一首和歌へ
 参照日 2024年7月12日

3.変体仮名を調べる
 ―五十音順一覧―
 参照日 2024年7月12日

【写真】

1.写真のフリー素材サイト
 ―Photo AC―
 大峰山・園城寺
 ナラノヤエザクラ
 シロヤマザクラ
 又兵衛桜
 

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