百人一首(21)素性法師/今来むと言ひしばかりに…楷書・ゆる文字・かな文字で描く書道アート

21番・素性法師の和歌

ポストカードに顔彩(絵の具)を使い、3種類の書体(楷書・ゆる文字・かな文字)をで描いています

クラフトパンチで濃はなだ色の帽子をかぶった妖精さんたちや、お月さまや鳥さんたちを作って飾り付けしているので、ぜひ!見てくださいな♪

他にも歌意・解説あり

最後に「わたしのひとりごと」

※画像はクリックで拡大するよ!

秋の夜長、明け方になって空が白んできた情景をイメージしてみたよ!

妖精さんたちは、朝の白っぽくなったお月さまを眺めているのかな?

かいしょであそぼ!

出典:古今和歌集こきんわかしゅう 恋

いまこむむと 言ひいいしばかりに 長月ながつき

有明ありあけつきを まちでつるかな

歌の意味

今すぐにいに行くよ!」と
あなたは言って下さったのに…

9月の長い夜を待っているうちに
とうとう有明の月が…

月が出るのを待っていた
わけではないのに…

言葉の意味

【今】
 すぐ、間もなく

【来む】
 たずねて行こう

【長月】
 旧暦の9月のこと

【有明の月】
 夜ふけから明け方に出る月

ゆる文字であそぼ!

歌の解説

この時代、男性が女性のもとへ通ってくるのが一般的だったので「今すぐに逢いにいくよ!」と言ったのは男性であると考える

ということで…

素性法師は男性だが、女性が恋人の訪れを待つ心情を想像してよんだ歌である

なかなか来ない恋人を、どのぐらいの時間まち続けていたのだろうか…

一夜だけという説

数カ月待ち続けたという説あり

百人一首の撰者である97番の権中納言定家は、何か月も待っているうちに、秋も深まったのだと理解しているようだ

「待ち出でつる」とは

出るのを待つという意味なのだが…

待つのは人で、出るのは月

月が出るのを待っていたわけではないのに、結果として月が出るの待つことになってしまったという感じになっている

素性法師ってどんな人?

素性法師(そせいほうし)
〔生没年不詳〕

本名は良岑玄利(よしみねのはるとし)

(かん)()天皇(第50代天皇)のひ孫にあたる

12番の僧正遍昭が出家する以前に生まれた子で、父親のすすめで出家する

宮廷に近い僧侶として、歌合せなどで活躍していた

宇多うだ天皇(第59代天皇)が上皇だった時代に、お気に入りの歌人であった素性法師を呼び出し、吉野宮滝に1週間ほど同行させ、歌をよんでもらっていた記録が残っている

梅や桜の花を題材にした春の歌を多くよんでいたが、恋歌は少なく、あまり得意ではなかったといわれている

三十六歌仙の1人

かな文字であそぼ!

変体仮名:もとの漢字

いま い者可はか

那可なかつき

有明ありあけつきを ちいて可那かな

わたしのひとりごと

この歌に出て来る「長月

旧暦の9月のことで『和風月名わふうげつめい』という月の呼び名を使っている

季節や行事に合わせてつけられているみたいだね!

【1月】
和風月名:睦月(むつき)

正月に親類一同が集まり
仲睦まじく(親しく)する月

【2月】
和風月名:如月(きさらぎ)

衣更着とも書く
衣を重ね着する(更に着る)月

【3月】
和風月名:弥生(やよい)

「弥」はいよいよ・ますます
「生」は生い茂る

草木がいよいよ芽吹く月

【4月】
和風月名:卯月(うづき)

卯の花(別名:ウツギ)が咲く月 

【5月】
和風月名:皐月(さつき)

早苗(稲)を植える月
」は神に捧げる稲という意味

【6月】
和風月名:水無月(みなづき)

水の月(無は「の」を意味する)
田んぼに水を引く月

【7月】
和風月名:文月(ふみづき)

稲の穂が実る月
穂含月(ほふみづき)が文月になった説

【8月】
和風月名:葉月(はづき)

木々の葉が落ちる月

【9月】
和風月名:長月(ながつき)

夜が長い月

【10月】
和風月名:神無月(かんなづき)

神の月(無は「の」を意味する)

全国の神々が出雲大社に集まり、
各地の神々が留守になる月という説あり

【11月】
和風月名:霜月(しもつき)

霜の降りる月

【12月】
和風月名:師走(しわす)

師匠ししょうといえども走り回る月

(※国立国会図書館『和風月明』より引用、参考文献にリンクあり)

旧暦だから今の季節感と1~2か月ほどのズレはあるんだけど、風情があって好きなんだなぁ

あらためて和風月名の由来を調べてみると、知っているのもあるけど「へぇー、そうなんだ」というのもいくつかあった

卯の花(別名ウツギ) ーPhoto ACー

4月の卯月の由来にもなった卯の花

ウツギという初夏に白い花を咲かせる植物が本来の名前みたいだね

おから料理の卯の花 ーPhoto ACー

わたしは…

卯の花といえば、おから料理を思い浮かべてしまう

この料理の由来も「小さな花が集まっている卯の花に似ているから」といわれている

8月の葉月

由来が葉が落ちる月で「なんで?」と思ったけれど…

旧暦だから、現在なら9月か10月の紅葉の季節なんだよね!

6月の水無月は、水が無い月だと思っていたのは内緒です
ε=ε=ε=(~ ̄▽ ̄)~

和歌をよむ機会が多かった時代

他の人になり代わって歌をよんだり、頼まれて歌の上手な人が代理でよんだりしたそうな…

85番の俊恵法師さんや、97番の権中納言定家さんも、女性の気持ちになってよんだ歌なんだよね!

男性が女性の立場で歌をよむことは、珍しくなかったらしい

反対に、女性が男性の気持ちをよんだ歌はないかも?

ちなみに…

歌の上手な人が代理でよむことを「代詠だいえい」という

今でいう代行サービスってことかな?

以前、宿題代行サービスが話題になって、ニュースでも見たことがある

私が気になったのは絵画の宿題‼

小・中学生の学年に合わせて描くんだろうけど、どんな絵を描いてくれるのか気になるところ

作文や感想文だって、学校の先生は本人が書いていないって気づかないのかな?

まぁ…

宿題代行サービスを頼むお子さんは、受験勉強が忙しくてお願いするらしいから、もともと勉強ができる生徒さんなんだろうけど…

でも…

賞に選ばれたらどうなるの?

ズルくない?

参考文献

【書籍】

1.神作光一 監修
 小学生のまんが百人一首辞典
 出版社 学研プラス/256頁
 発売日2005年12月

2.著書 小池昌代
 ときめき百人一首(14歳の世渡り術)
 出版社 河出書房新社/256頁
 発売日1017年2月

3.吉海直人 監修
 百人一首大事典 ―完全絵図解説―
 出版社 あかね書房/143頁
 発売日 2006年12月

4.著書 佐佐木幸綱
 口語訳詩で味わう百人一首
 出版社 さ・え・ら書房/221頁
 発行日 2003年12月

5.著書 富谷松雲
 (ポケット版)常用漢字準拠
 ―八体事典―
 出版社 有紀書房/400頁
 発行日 1993年4月

6.編集 千草会/発行者 内山清蔵
 百人一首
 発行所 松魁堂/113頁
 発行日 1998年5月

【Webサイトの記事】

1.フリー百科事典 ―Wikipedia―
 素性
 経歴・和歌
 更新日 2022年8月22日
 参照日 2023年5月10日

2.百人一首を探ろう
 素性法師
 プロフィール・百人一首和歌へ
 参照日 2023年5月10日

3.国立国会図書館
 和風月名
 参照日 2023年5月10日

4.変体仮名を調べる
 ―五十音順一覧―
 参照日 2023年5月10日

【写真】

1.写真のフリー素材サイト
 ―Photo AC―
 卯の花

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